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先生が教えてくれなかった「言語聴覚士」

言語聴覚士になりたい学生さんや、言語聴覚士になりたての方に向けた、学校の先生が教えてくれないことを綴ります。

言語聴覚学生の疑問:「患者さんは教科書」という言葉の真実

 

 

学生時代、「患者さんは教科書だからな~」という先輩や先生の言葉を聞いて、あまり理解できていない自分がいました。

 

ですが、いざ臨床に立つと、その言葉の全貌が見えてくるんですね( ˘ω˘ )

 

 

というわけで今回は、言語聴覚士になってからわかった「患者さんは教科書だよ」という言葉に込められた意味!!を解説していきたいと思います!

 

 

 

 

私たちは学生時代で、様々な病態について学び

そのタイプを分けるために必要な症状や特徴、

適応する検査などを詰め込んで臨床に向かいますね。

 

でも、まず臨床に出るとぶつかるのが、

「あれ?こんな症状、教科書に載ってない…( ;∀;)」

だったりするんです。

 

 

例えば、失調性構音障害の患者さん(仮名:山田さん)がいるとして、

 

  • 爆発性や断綴性の目立つ構音特徴
  • プロソディの不規則な変化
  • リズムの乱れが顕著にみられる

 

などの症状に加えて、

 

  • 声の小ささが聞き返しを要するレベル

 

という症状が加わったとします。

どの教科書を見ても、『失調性構音障害に声の大きさの異常が現れる』といった併存症状は見つからず、途方に暮れてしまうパターンもあり得るのです。

 

 

ですが、目の前で実際に山田さんに見られている症状!というからには、きっと何等かの原因があるはず。

 

そこで、次は「声が小さくなる原因について調べる」んですね。

 

 

 

例えば、声が小さくなる要因としては、

 

  • 体力低下
  • 呼吸筋や声帯筋の麻痺
  • 呼吸機能の低下(煙草や既往に呼吸器疾患があるかなど)
 
が挙げられます。
最近疲れやすさを訴えるような言動はなかったか?麻痺は見えているところだけか?煙草をずっと吸っていたことや、呼吸器疾患の既往はないか?
など、山田さん本人やご家族、カルテや病棟スタッフなどに、情報収集をする必要があるんですね。
 
そうすると、山田さんの診断は『失調性構音障害』だからといっても、教科書通りにはいかず、
自分の頭の中には「山田さん専用 失調性構音障害」という専用フォルダが立ち上がるんです。
フォルダ内には、
  • 「独居のため日中も臥床傾向にあり、体力低下が見られた」
  • 「40年以上煙草を吸っていた。呼吸器疾患はないが、呼吸しづらいという主訴あり」

など、山田さんに見られた情報が管理されていくんですね。

 

 

それは、「鈴木さん専用 パーキンソン病

  • 「3年前から認知症の進行が著しく、失語症状あり」
  • 「趣味はマラソンだったため、身体機能の低下は緩やかにみられる」
 
など他のフォルダも次々に作られていきます。
 
 
 
 
すると、沢山出来上がった患者さん専用フォルダは、まるで教科書のように自分専用の知識となります。
 
きっとこれを積み重ねていくことがとても大事なことなんでしょうね(。-∀-)
 
 
最初のうちはそのフォルダ数も少ないため
色んな教科書を開き、沢山の人に情報を聞いたり、先輩のフォルダの中から知識を借りたり、
なんてことを積み重ねて大変な時期もあります。
 
でも、患者さんと一緒に作り上げたフォルダは
一生ものの知識になります!!
 
 
 
 
誰一人として同じ患者さんはいません。
 
そして、教科書通りの症状しか呈していない患者さんも、存在しません!
 
 
きっと、「患者さんは教科書」という言葉は
  • 教科書にあてはめてばかりでなく、その人にしかない症状を見つけましょう
  • その人をよく見て専用のリハビリプログラムを立てましょう
  • その患者さんから得た知識は教科書に無い、この世に一つの大切なもの

なんて意味があったのではないかなぁ、と働いてみて実感しました。

 

 

 

皆さんが実際に働いて少し経ったら、私と同じようにこの言葉の意味や、この記事の内容がもっともっと「なるほどねえ~( ˘ω˘ )」となるのかな、と思います!笑

 

 

では、閲覧ありがとうございました!