言語聴覚学生の疑問:急にスクリーニングやれと言われましても、なんですかそれ。
そういえば私、実習直前に先輩から
「スクリーニング検査のデータあげようか?」
と言われて、(゜.゜)????となった経験があります。
実習前に、実習先のバイザーに質問ができる機会があったときも「うちの実習はスクリーニング作ってから来てね」と言われたことも。
他の学校の教育形態はわからないのですが、
実は私の通っていた学校では「スクリーニング検査」についての授業はそんなに深くやらなかったんですね。
そして案の定私は、実習前に焦りました( ;∀;)
学生だった私は、SLTAやAMSDやコース立方体などの練習ばかりして、スクリーニング検査の練習は皆無!!!だったのです…。
まず、スクリーニング検査というのは、なぜ必要なのでしょうか?
私たち言語聴覚士が覚える検査は、かなり多いですよね。
- SLTA
- AMSD
- コース立方体組み合わせテスト
- RCPM
- HDS-R
- MMSE
- BIT、RBMTなどの高次脳検査 等々……
学生だった私は、テストで実技に受かることばかり頭にあって、実際の実習ではどんなことをするのかなんて全然想像もついていませんでした!!(。-∀-)
しかし、必死になって覚えた検査も、実際の患者さんを見極めて使わなければまったくもって意味がないですよね。
慣れない環境にテンパって、失語症がある患者さんに、HDS-Rをかけることを選ぶなんてことがあった日には…(;´д`)
バイザーに厳しく注意されてしまうことと思います。
ですが、「この患者さんにはSLTAを実施します!」とバイザーに伝えても、その
失語症検査をかける根拠
が無ければGOサインはいただけないでしょう!
患者さんも、「なんとなく失語っぽい…」という理由であんな長い検査かけられても困っちゃいますからね(;´・ω・)
そうなんです、スクリーニング検査は
- 患者さんの今の状態を大まかに把握する
- 主症状や必要な検査を見極める根拠を見つける
という大事な役割があるんですね!
しかし、学生時代の私はこれを説明されても「うーん、それはそうなんだろうけど…」と思っていました。
多分、本当に知りたかったのは、
みんなどんなスクリーニング検査をしているのか?
だったような気がします。
ちなみに、公式的に「言語聴覚士はこのスクリーニング検査をしなさい」と決められているものはありません。(多分、教科書などで推奨されているものはあると思いますが)
その病院によって統一されている場所もあるみたいですが、基本的には自分で用意したスクリーニングを実施すると思います。
なかなか実際の言語聴覚士が行っているスクリーニング場面を、参考にする機会もないかと思いますので、ここからは私が実際に行っていたスクリーニング検査の内容を記載したいと思います( ˘ω˘ )
Ⅰ.フリートーク
- 確認できそうであれば、HDS-Rなどを参考にした見当識確認
- これも確認できそうであれば、主訴を聞き出す
(Ⅰ以下は必要に応じて優先順位を変える)
Ⅱ.構音や口腔器官の動作確認
- AMSDの項目抜粋(呼吸、発声、舌や口唇の可動域チェックなど)
- ディアドコキネシス
⇒もし指示が入りやすく、口腔器官に異常があるようであれば
そのまま嚥下スクリーニングへ移行
Ⅲ.嚥下機能の確認
- RSST
- 用意できそうであればMWST
- 表出(呼称、音読)、理解(聴理解、読解)を簡易に評価
EX)呼称「この絵カードの名前を答えてください」
音読「ここに書かれている文字を声に出して読んでください」
聴理解「私の言ったカードを指さしてください」(難易度設定大事)
読解「この文字と同じ絵を指さしてください」(モーラ数など設定)
- 余裕があれば、末梢課題など高次脳課題を行っていた
大体ざっくりと説明するとこんな感じです。
私たちは患者さんからお金と限られた時間をいただいています。
この短い時間の間で、どれほど多くの情報が得られるかが鍵となってきます。
例えば、フリートークで主訴を聞く際に気を付けたいことは
「主訴の内容だけに気を取られないこと」です。
大切なのは、自由な会話のときに患者さんが
どんな話し方や反応方法で返答してくれるか。
①「言葉が出づだいような感じ」
②「あの…ええと…、ことば、ことばが……」
というように、上記の二人は同じ「言葉」について訴えられていますが、
①の方は言葉の出づらさを訴えていますが、その出づらさが指す意味は「以前よりも話しにくい」ということでしょう。
大切なのは、言語機能が低下しているというよりは、「ra」が「da」に置換している、つまり構音機能が低下していること。
この時点で、舌や他の器官にも障害があるのではないかということを疑い、構音障害メインとしたスクリーニングが必要になるかもしれません。
また、前述したとおり、構音障害を呈しているということは、口腔器官が動きづらくなっている可能性があり、同時に嚥下障害も呈しているという可能性を考えます。
ここで焦ってしまって、言語機能などのスクリーニング検査を実施してしまうと、かなり時間のロスになったりもするので、落ち着いて見極めてくださいね!
②の方は、発話が非流暢であり喚語困難を呈しているようですね。
といったように、
学生時代は何が何なのかもわからずに(私だけでしょうか笑)
検査練習をしたり実習に行ったりしますが、できるだけ時間を有効に、そして詳細な鑑別診断をするための検査を実行するべく、なるべく根拠のあるスクリーニング結果を得たいものですね。
自分のやりやすいようにカスタマイズできるのも、スクリーニング検査の醍醐味といったところでしょうか( ˘ω˘ )
では、閲覧ありがとうございました!