言語聴覚士一年目:成人脳性麻痺患者の入院治療と訪問リハ
臨床に出たら、どんな患者さんがいるんだろう?
先輩たちは困ったり悩んだりした患者さんいたのかな?
と思うこともあるかと思います。
なんてったって、机上も実習も臨床も、
別物!という感じの世界ですからね( ;∀;)
ということで、今回は私が臨床に出てから
「あれは困ったなぁ…」という症例をご紹介します。
まずは、軽く言語聴覚士としてのやってきたことをご紹介します。
私は、同じ専門学校卒業の同期1人と共に
言語聴覚療法を開始して2年目の病院に勤めました。
そこには、二人の先輩がいましたが、
何しろ120床ほどある病院と、
同じ法人内で経営していた通所リハビリの午前・午後の口腔期リハも担当していたため
新人の私たちもすぐに現場に回らなければいけない状態でした。
4人で役割を分割。
外来担当。回復期担当。急性期、維持期担当。
そして私が、通所・訪問担当、になりました(空いている時間は急性期・回復期を回っていました)。
そこで担当したのが、急性期病棟に入院された
20歳の脳性麻痺患者さん(Aさんとします)でした。
意思疎通は困難で、その時は誤嚥性肺炎の診断で入院されてきました。
大変だったのは、拒否が強かった患者さん自身もですが
特に親御さんの横槍がかわしきれず…(´;ω;`)笑
「私はこうしてきたわよ」「小児科の先生には昔からこうしてって言われてるの」
などなど…
脳性麻痺の患者さんに直接触れるのも、見るのも初めてだった私。
一応教科書などで勉強はしますが、症状も人それぞれ…。
しかも困ったことに、口腔ケアの拒否!!
そして嚥下機能はまだ20歳程度と若かったため保たれていましたが、摂食拒否!!
そしてそして、一番困ったのは、経鼻経管栄養(以降、MTと表記)を挿入すると嘔吐反射がでる…!!!
この時はさすがに泣きそうでしたね…笑
脳性麻痺の患者さんは口腔器官が過敏だとは習っていましたが、
口腔ケア時に細いメンティップなどを使用しても嘔吐反射が出ることも。
病棟側と連携し、なんとか口腔ケアだけでも!!と粘りましたが、
途中からは親御さんがAさんの気をそらしながら無理やりケアを継続してくれました(;´・ω・)
しかしMT挿入不可となれば、栄養を摂取する経路も断たれ
口腔ケアができないと誤嚥性肺炎の予防もできず
少しでも口腔内に刺激が入らないと嚥下機能だって落ちていく…。
かなーーり、絶望しました!!
◆お母さんに好きだと言っていたヨーグルトをもってきてもらう
◆脱感作しながら口腔器官の過敏性を取り除いていく
◆できるだけベッドギャッジアップを40~50°にし、誤嚥性肺炎を防ぐ
◆成人用のMTしか置いていなかったので、小児用の細いMTを取り寄せる
色々試しました( ;∀;)
すると!!4つ目の、Aさんは小児用のMTを使用すると嘔吐反射が出ないことが判明!!!
この時ばかりは本当に本当に安堵しました…。
ようやく栄養の注入が開始され、年齢も若いからかみるみるうちに回復!
嚥下機能にも大きな低下はなく、ごはんもスムーズに3食移行可能に。
しかし、そこからまた苦労したのが、「摂食姿勢の家族指導」
いままで行っていた摂食姿勢を聞いて、言語聴覚士一同驚き!!!
なんと、Aさんの体を床に寝かせた状態で、首はお母さんの太ももに。
その状態で20年間食べてきたのだといいます…
なんと恐ろしい!!!と本当に吃驚でしたね。
自宅にあるベッドはきちんとギャッジアップができるものらしいので、
とりあえずPTさんやOTさんを交えて痙性が強まらないようなポジショニング指導など行い、とりあえず退院されました。
そして後日、通所・訪問リハビリ担当の私は、
Aさんのお宅に行き、ベッドの調整や食事の指導などをしました。
当然、一年目だからといっても先輩STさんたちは私より忙しいため
一人で訪問担当PTさんの車に揺られ訪問しました。
やはり、実際の生活環境を目の前にすると、
病院では当たり前にされていることや用意されているものが無く
結構バタバタしながらの初回訪問…(;´・ω・)
摂食姿勢はかなり改善されていましたが、
頸部が過伸展になりやすいAさんのため、
食事中は頸部後方にタオルを詰めるなどの対策や
年齢重ねるごとに徐々に頸部の伸展位が強くなってきているとのことで
頸部のマッサージや、緊張が強い日はとろみを付ける指導なども実施。
もともと、小児は興味ないしそっちで働かないから大丈夫~(*'▽')
なんて思っていた私でしたが、
実際の現場では担当になれば自分が安全に3食食べれるように考えないといけないし、家族の対応もしなきゃいけないし、
という大変さを味わった、Aさんの入院と訪問リハのお話でした!
では、閲覧ありがとうございました!